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2013年10月12日土曜日、IAMASイノベーション工房[f.Labo]にてメディア芸術表現基礎ワークショップ ex-Workshop05「形態と機能Ⅰ ラピッド・プロトタイピング」を行いました。  このワークショップでは、地震などで倒れたり、傾いたら点灯する防災ライトをテーマに、防災ライトに必要な条件設定からアイデア展開、三面図への落とし込み、造形、機能の埋め込みを行いました。ワークショップとしては長丁場になりましたが、実際に製品を開発するプロセスから考えると、とても短い時間で案件の条件設定から、アイデアを考案し、プロトタイプを実現できたことになります。

1日の行程を追ってワークショップの内容を紹介します。  初めにアイスブレイクとして自己紹介を行いました。参加者は、学部生、大学院生、社会人の方々でした。 次に、テーマである防災ライトについての説明を行い必要な条件について考えました。防災ライトは、the blink module という金箱が開発をおこなったソーラー充電式のモジュールを使用します。
ここでのポイントは、防災ライトの条件設定を「いつものとき」と「もしものとき」にわけて、ソーラー充電式のライトを「いつものとき」はどの様な場所に置くか、どの様なモノをライトにするかを考えること。「もしものとき」は、どの様な動作によってライトが点灯するか。また、どのようにしようするかの2つの条件を考えてキーワードを考えることでした。二つのキーワードを設定することで、より明確な形状と動作について想起することを促します。

条件設定の後には、アイデアスケッチを行いました2つの条件設定踏まえることで、「ドアノブを防災ライトにする」、「水に浮かべて長い振動を視覚化する」など多様なアイデアが生まれました。  次の行程ではアイデアスケッチを具現化するための方法として三面図を描きます。三面図は工作用紙に描くことで切りぬいた後、素材であるスタイロフォームに切りぬく形を描く型となります。
切りぬいた型を使用して素材のスタイロフォームに切り取る輪郭線を描きます。スタイロフォームは、ホワイトで粗めのスタイロフォームを使うことで、光の拡散と加工の容易さを実現しています。

実際の加工では、まずスタイロフォームに描いた輪郭線をもとに大まかに形をカットします。大まかにカットしたスタイロフォームは、カットする面積によって大きいカッターと小さいカッターを使い分けて形を整えるようにカットします。カッターナイフの使い方が形を造形する上で大きなポイントになっています。本ワークショップでは、「刃を長く出す」、「切る方向を確認する」、「ゆっくり切る」の3点を抑えた切り方をレクチャーすることで、短時間で製図した形を造形することを可能にしました。
カッターナイフで造形した形は、最後に紙やすりで仕上げます。カッターナイフでなだらかになった角は軽くやすりをかけるだけで滑らかな曲面となります。全体が滑らかに仕上がることでリアリティが増し、プロトタイプを使用しての検証にもリアリティがより付加されます。

最後に、the blink module とLED、角度によって通電するスイッチを組み合わせて造形した形に埋め込みます。モジュールを彫って埋め込むのは困難なため、スライスして切りぬく方法を考案しています。これによりスライスして容易に埋め込む形を用意してモジュールを埋め込み最後にボンドでとめることで、スライスした場所もほぼ目立たずに仕上げることができます。

完成したプロトタイプは、プレゼンテーションの後に撮影を行いました。プレゼンテーションでは、防災ライトという一つのテーマから多くのアイデアが生まれたことを共有することができました。電子工作や造形に関する経験がほとんどない参加メンバもしっかりと自分のアイデアを機能をもったプロトタイプとして具現化できました。今後は、自分が欲しいものをテーマにこのワークショップで体験し方法を活用してもらえれば幸いです。

なお、本ワークショップはJSPS科研費24603008の助成を受けたものです。

講師インタビュー

講師紹介

蛭田直

1976年生まれ。情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科修了。現在、信州大学教育学部 図画工作・美術教育コース 助教。メディア表現とアイデアスケッチ、造形支援について研究、制作を行っている。

金箱淳一

1984年生まれ。筑波大学大学院 博士後期課程在籍/女子美術大学 アートデザイン表現学科 メディア表現領域 助手。聴覚障害者をターゲットとした「共有楽器」に関する研究・制作を行っている。

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受講者プレゼンテーション

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